FX取引のポイント〜為替市場の読み解き方〜

  • 5月10日の緊急対策で、ユーロ圏内各国国債間利回り格差は一旦縮小。
  • 為替市場のポジティブな反応は一日もたず。
  • ユーロ圏問題の本質は財政問題。しかし解決の見通しは立たず。
  • 今後もユーロは軟調な相場が続く見込み。一方、ドル/円の下値は限定的。

各国国債間スプレッド一旦縮小

日本時間先週月曜(5月10日)早朝、ユーロ圏とIMF(国際通貨基金)による『欧州安定化メカニズム』創設、ECB(欧州中銀)による債券市場への介入、そして日米欧中銀によるスワップ協定再締結によるドル資金供給という、大規模かつ広範なギリシャ問題対策が発表されました。

 

一連の発表と当局の素早い行動を受け、当初はギリシャ国債などとドイツ国債とのスプレッド(利回り格差)は順調に縮小しました。
これを好感し木曜日までは各国株式市場も堅調な動きとなりました。

 

しかし、木曜日にやや拡大した国債スプレッドが、金曜日も拡大を続けると、欧州を中心に世界中の主要株価指数が再び下落することとなりました。

為替市場、ポジティブな反応続かず

一方、為替市場におけるその反応は、当初から限定的でした。
ユーロは10日アジア時間こそ、対ドル、対円で買い戻されましたが、その流れは一日と続かず、10日欧州時間以降は軟調な推移が続きました。
その流れを受け、週明け17日東京時間にはユーロ/ドルがリーマン・ショック後の2008年10月につけた安値を割り込んで、2006年4月以来の水準まで売られました。

 

全般的なリスク回避の動きとなったことで、ユーロ/円やポンド/円などクロス円も全面的な円高となり、現在は6日の急落で付けた安値をうかがう動きとなっています。

ユーロ圏問題の本質とは?

先週発表された一連の対策は、あくまでも対処療法的なものです。
根本的なギリシャなどの財政赤字の削減は、それぞれの自助努力に頼る他ないことが、現在ユーロ圏の弱みとなっています。

 

ギリシャが財政赤字削減に向け本格的な対策を実行できなければ、財政支援のために負担を強いられたユーロ圏全体にまで財政問題が広がることとなり、将来的にドイツやフランスといった、現在は問題視されていない国々の格付けなどに悪影響を及ぼす可能性が高くなります。

 

一方、今回のような対策によって、国債スプレッドが縮小するなどした場合は、救済された国にとっては、緊急に財政を立て直すことへの危機感が薄れるおそれもあります。
同様にポルトガルなど財政の弱い他の国々に向けても「赤字削減を急がなくて良い」という間違ったメッセージを送ることになりかねません。

 

最終的には、各国の財政赤字を急速に削減できる、という見通しが立たなければ、この問題の本質的な解決への道筋とはなりません。

ユーロ下値を探る展開続く ⇒ 今後の相場見通しは?

リーマン・ショック後の安値を割り込んだユーロ/ドルですが、今のところ短期投機筋の買戻し以外に買い手が見当たらない状況となっています。

 

このユーロ/ドルの下落によって、一部では外貨準備におけるユーロ比率の見直しを図る国が出てくるのでは、との思惑が浮上しています。
実際、「ロシアがユーロの外貨準備比率を引き下げる一方、ドルの比率を上げている」という一部報道もあります。
外貨準備比率の見直しのような取引では、レートの上下に関わらずユーロ売りを実行することになりますので、ユーロ/ドルはさらに下値を探る動きが続くと予想できます。

 

また、ユーロ/ドルの下落が続けば、ユーロ/円、ポンド/円などのクロス円もつられて下落が続くと考えられます。

 

一方、ドル/円に関しては、5月6日のドル/円の急落で、円売りのポジションの整理がほぼ一巡した、と考えられることから同様の急落はない、と予想しています。